第2章 Trick or Treat !?
降:「うん…やっぱり似合っているね!」
『あ…ありがとうございます…』
何度目かの降谷さんの称賛の言葉に曖昧な返事をしながら、私は恥ずかしさに耐えていた。
私たちは、いつも通り降谷さんのRX−7に乗って潜入先へ向かっているところだ。
着替え終わった私は、執務室に置いてあった姿見で全身を確認して、卒倒しそうになった。
サイズが合っていたことよりも、その衣装が醸し出す雰囲気に驚いたからだ。
スカート丈が足首まである、露出の少ないエプロンドレスだと思っていて油断していた。
着てみると、体にフィットする作りになっていて手首と首元のレースを除いて、無駄な装飾がないだけにスタイルが強調されているのだ。
ご丁寧にコルセットまで付いていたから、余計に目立つ。
(華美な衣装よりも、恥ずかしい…)
普段からトレーニングで鍛えているとはいえ、スタイルが目立つ服を普段から避けていた私には、難易度が高い服装だった。
この時、やっと私は降谷さんが「私を適任」と言っていた事を思い出して、追求しなかったことを大いに後悔したのだった。
(トレーニングしていないと、この衣装は似合わないよね…だから、適任だったのか…)
とはいえ、不平を言ったところで衣装が変わることはないので、私は諦めて、降谷さんに連絡を入れて現在に至っている。