第2章 Trick or Treat !?
降:「冗談だから、落ち着こうか?川崎さん」
私はコクコクと頷く。
それを確認した降谷さんがやっと、私の口を解放してくれた。
『はぁ…揶揄いすぎです。降谷さん』
降:「ごめん、ごめん。君の緊張を少しでも解そうと思ってさ」
『それは…感謝します』
どんなに揶揄われても、最終的には降谷さんの優しさに絆される私。
降:「うん。素直な方が、君らしいよ」
『ありがとうございます…着替え終わったら、ご連絡しますね』
なぜか満足そうな笑みを浮かべている降谷さん。
その様子を疑問に思いつつも、降谷さんとこれ以上、話していられないと思った私。
暗に出ていって欲しいと仄めかしてみる。
降:「了解」
降谷さんも私の意図を汲んでくれた様で、早々に退室する。
降:「外側から鍵をかけるから。万が一、来訪者が来ても無視してね」
『承知しました』
降:「連絡、待っているよ」
降谷さんが出ていったことを確認して、私は紙袋から衣装を出す。
『なっ…⁉︎』
紙袋に入っていた衣装を見るや否や、叫び出そうとする口を慌てて自分の手で塞ぐ。
その拍子に、衣装は床へ落ちた。
私は床に広がった衣装を改めて見て、深いため息を吐く。
私の足元には、緑色のエプロンドレスが広がっていた。
そう某テーマパークの幽霊屋敷のキャストさんが着ている服と全く同じものである。
『露出が少ないとはいえ…なぜ、これ?』
選んだ当の本人の意図が全く読めないと思いながらも、私は急いで着替え始めた。