第1章 Du sollst an mich denken
部下と笑っていても、どこか相手を見透かす光を宿して笑う降谷さん。
そんな彼の瞳が、今は優しく細められる。
部下の誰も見たことがないであろう降谷さんの表情。
そんな姿を私にだけは、見せてくれている現実。
(あ…本当に私のことを大切に思っているんだ)
その誠実な姿勢に、私もきちんと向き合いたいと思う。
やっと、私の思考が正常に戻ってきたようだ。
私は、必死に返す言葉を探した。
『ずっと、降谷さんの右腕で居て良いってことですよね?』
秘めていた想いを今すぐにでも、降谷さんに伝えたい。
それでも不安な気持ちが勝ってしまい、確認するような質問を私はしてしまう。
そんな自分がもどかしいと思いながら、私は彼の回答を待つ。
降:「ああ…もちろん。むしろ、僕が君の右腕になりたいくらいだよ」
『…そ、それは、遠慮します!』
降:「ははっ…君ならそう言うだろうね。うーん、そうだな…」
降谷さんは、少しだけ考えを巡らせる。
降:「うん。じゃあ、こうしよう!僕たちが、この国の両腕になろう!」
『それ、名案です!』
降谷さんは、やっぱり最高の人だと私は思う。
「この国を守る」という使命の下に集った私たち。
この国が存続する限り、私たちの関係は永遠に続くことを約束してくれたのだから。
私の不安は、この言葉で一掃された。