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【R18】コナン短編集【赤井秀一・降谷零】

第1章 Du sollst an mich denken


ミアSide
降谷さんと共に勤務し始めて、1週間が経った。
改めて気付かされる降谷さんの優秀さ。
彼の傍で学べる自分は、どこまで贅沢なんだろうと毎日、思う。
同時に、私の中では降谷さんのことを上司以上に思う気持ちが芽生え始めていた。

降:「川崎さん、準備できた?」

『はい!』

外出の際、いつも私のデスクまで迎えに来る降谷さん。
その心遣いを毎回嬉しく思いながら、笑顔で返事する私。
もちろん上司以上の気持ちを持っていることなど、噯にも出さないように。

降:「行こうか」

私の返事を確認して歩き出す彼の後を、私は子犬のように今日も追いかけて行く。
無論、周りにいる同僚たちが羨望と嫉妬が入り混じった眼差しで、その様子を見ていることなど私は気づいていない。

いつも通り、降谷さんは愛車 RX−7の助手席の扉を開けて私が乗り込むのを待っていた。
お礼を述べながら乗り込む私。しかし、内心は穏やかではない。
彼が乗り込んだことを確認して、私は今まで言えていない想いを伝えてみた。

『いつもすみません』

降:「どうした?」

私が唐突に謝罪を述べたので、降谷さんは怪訝そうな声をあげた。

『いつも運転していただいているので』

降:「ああ、そのことか。運転好きだから」

何でもない風に降谷さんは答える。
彼にとって自身で運転するのは、ごく自然なことなのだろう。
しかし、部下に気を遣わせまいとする姿勢さえもカッコいいと私は思う。

(本当は、いつもドアを開け閉めしてくれることが一番気になるけど…エスコートしてもらっている気分になっちゃうから)

そんな本音を飲み込んで、私は降谷さんに改めて謝意を伝えた。

『ありがとうございます』

降:「ああ」

言外に「気にするな」という思いを含ませて答えた降谷さんは、RX−7をスムーズに発進させた。
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