第2章 大切なΩ(千堂敦β×花垣武道Ω+佐野万次郎α)
タケミチのフェロモンが余計濃くなった。
こんな濃いのは初めてだ。
「タケミっち、やめ・・・落ち着けっ・・・くっ・・・。」
マイキーくんのラットも強くなった。
すげーフェロモンだ。
倉庫の中に、2人のフェロモンが充満する。
「なんでっ、運命なんかに抗えねぇんだよっ・・・!」
「マイキーくん・・・オレ、我慢出来ないっ・・・!!」
運命・・・?
何を言ってるんだ?
タケミチまで・・・。
「もしかして・・・運命の番、なのか・・・?」
2人とも荒い息を繰り返している。
マイキーくんのあそこが膨らんでいる。
タケミチもケツを弄っている。
「クソっ・・・!」
誰にも聞こえないように、吐息のように吐き捨てた。
「マイキーくん、タケミチの番になってくれねっスか?番がいないΩはきついし・・・。」
「アッくん、なに、言ってんの・・・?」
これでいいんだ。
運命の番だし、番がいないΩは幸せになれない。
番になれないオレは、タケミチを幸せに出来ない。
「マイキーくん、お願いだから・・・タケミチを幸せにしてやってください。」
「オマエは、いいのか?」
マイキーくんの問いに笑顔で答えて、その場を後にした。
ずるい・・・なんで、何でも持ってんだよ。
オレに少しくらい分けてくれてもいいじゃねぇか。
αで運命の番なんて・・・そんなもん、勝てるわけねぇじゃん。
どうやったって、オレはタケミチを幸せに出来ない。
その現実が、あまりにも辛くて、悲しい・・・。
こんなに愛してるのに・・・。
運命の番だ。
タケミチもきっとマイキーくんを好きなんだ。
オレのことは、とっくにもう・・・頭の片隅にすらないんだろう。
恥ずかしげに好きだと言ってハニカム、タケミチの顔も、生理的な涙を流しながら扇情的に見つめる、タケミチの顔も、名前を呼ぶあの可愛い声も、儚げに喘ぐあの声も、何もかも・・・もうオレのものじゃない。
違う、初めからオレのものじゃなかったんだ。
タケミチが産まれた、その瞬間から、全てがマイキーくんのものだったんだ。
どうしてオレはβなんだろう。