第2章 大切なΩ(千堂敦β×花垣武道Ω+佐野万次郎α)
「んっあっ、アッくん・・・あ、もうっ、んあああっ!!」
タケミチを後ろから抱き、果てる瞬間うなじに噛み付いた。
こんなの、ただの真似事だ。
タケミチを抱く度に、この真似事の行為をする。
βのオレにはΩのタケミチを幸せにすることは出来ない。
でも、この手から離せずにいる。
βのオレから離れさせなきゃいけないのに、オレを好きだと言う愛しいタケミチから、離れられない。
「タケミチ、好きだぜ。」
「オレも、オレもだよ、アッくん、好き・・・。」
タケミチを正面から抱き締めると、たくさんの噛み跡があるうなじが見える。
オレが・・・オレがαだったらっ・・・!!
ぎゅっと抱き締めると、アッくん苦しいよと愛しい声が聞こえ、腕の力を弱める。
次の日学校に行くと、タケミチが来ていた。
「タケミチっ!?オマエまだ、ダメだろ!!」
タケミチはまだ、ヒート中だ。
なんでそんな時に学校来てんだよ。
この学校にだって、少ないがαはいる。
「アッくん!もう大丈夫だよ、もうちょっとで終わると思うし、今はもう落ち着いたから。」
「わかんねぇだろ!」
大丈夫だってと笑っているタケミチが心配でならない。
その後も授業が身に入らず、タケミチのことばかり考える。
こんな時は特に、自分がβなのを恨む。
携帯が光り見ると、タケミチと同じクラスの奴からメールが着ていた。
《 タケミチがいない!》
は?いない?
オレは急いで教室を出た。
教師がオレの名前を呼ぶ声がするが、そんなの構ってられない。
オレは学校中を必死に探し回った。
屋上も空き教室も全部。
どこにもいない。
他に行っていないとこを考えた。
あそこだっ!!
ほんとんど人が寄り付かない体育館裏の倉庫。
そこに行ってみると、タケミチの声が聞こえた。
「嫌だっ!!やめろ!離せっ!やだ・・・アッくん!!」
っ!?
クソっ!
だから言っただろ、まだダメだって。
倉庫の扉を開けようとしたが、中から鍵が掛けられているのか開かない。
オレは思いっ切り扉を蹴った。
中に入ると、タケミチのフェロモンに誘引された数人のαが、タケミチを押さえ付けている。
「タケミチ!!」
αたちに襲いかかった。