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【ONEPIECE】青 銅 の 剣 と 番 犬

第1章 ラビスタ編〝未来の海賊王へ〟



 開店してから数分すると、薄手のフードとマントで身を覆った者がドアを開けた。

 しかし、キルマはすぐにその者が女性であると確信した。
 こんな格好でこの街を出歩いているのは流浪人か旅人、もしくはこのラビスタ島に住む女性の三択だ。彼女は明らかに何かに怯えている様子で目線は下を向いたままこちらを見ようとはしない。

 (特に嵐明けとなると観光客なんて一人もいないって言うのに、)

 呆れたように小さく息を吐くとキルマはソックスを上げると見せかけ女のマントの隙間を覗くように少し身を乗り出した。

 見えたのは抱きかかえてる幼い子供だった。
 ジークが注文を聞くと「なんでもいい。お金は払います」と震えた声で答える。ジークは言われたとおり先ほどのカウンター前でもう一つ肉を焼き始めた。

 その間にキルマとジークの会話はない。ただ肉を焼く音だけが響く。
 キルマは静かにグラスに口を付ける。カクカクと針が時を刻む音が異様に大きく感じた。

 中までしっかり火の通った肉をカットすると、キルマより先にジークは彼女へと料理を運び目の前に置いく。キルマはそれを目線で追うと再び彼女に目を止め眉間に皺を寄せた。

 それはあの幼い子供を連れるにしては随分若い女だったからだ。
 おそらく自分とさほど年齢は変わらないであろう。彼女は抱きかかえていた幼い子供に小さく食事を切り分け与え始めた。

 すると少しだけフードがずれ、ブロンドの長髪が机にこぼれ落ちた。
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