第2章 ラビスタ編〝亜熱帯雨林の逆行〟
やってきたのはサニー号の甲板。先程に比べて雨雲が進行し時々冷たい風が吹いていた。
「ルールは簡単、この腕のバンダナを先に取るか、または切って落とした方が勝ち。」
そう説明しながらウソップとサンジがゾロとキルマの腕にバンダナを器用に結びつけると甲板上の高台へと移動する。
「武器は?」
「なんでもいいよ。それが君の武器なんでしょ」
キルマが指差す先にはゾロの腰にある三本の日本刀。
「……いいのか?」
「なにか、…不満でも?」
「いいや、大した自信だなと」
「まさか」
武器の指定はないというキルマ。キルマの手に持っているのは先ほどのサバイバルナイフ一本。対照的にゾロの武器は日本刀三本という短刀というだけでも不利な状態なはず。それなのに先ほどよりも緊張感のない彼の立ち振る舞いや声色は不意にもゾロの緊張感を際立てた。
「よーし、お前ら行くぞ…始め!!」
ウソップがパンッ、と手を叩いた。
「キルマくんぼこぼこにしちゃって~!」
「まりも負けろー」
「二人とも頑張れ~!」
ナミとチョッパーが蜜柑畑のある甲板と高台から声を上げた。その応援にかぶせるようにここぞとばかり紛れているサンジにゾロはキッと睨みつける。キルマを応援する、と言うよりかはゾロが負けるのが見たいだけのようだ。
キルマは持っていたサバイバルナイフを取り出し構える。同じくゾロも刀を三本構え始めるとキルマが関心そうにおぉ、とまるで初めて見る子供のように声を上げた。