第2章 ラビスタ編〝亜熱帯雨林の逆行〟
「はい、キルマくん」
「ありがとうナミ」
ナミがキッチンからテーブルへと戻るとキルマに差し出したのはおかわりしたスープだ。
立ち上がって手を伸ばすキルマ。先ほどからゾロの貧乏ゆすりが止まらないが、知らないふりをしてナミに笑顔を見せる。
すると袖から見える黒い模様にナミが目線を落とすがキルマはそれに気づくことなく食事を再開する。
その様子にナミも特に気にすることなく席に着きビビと雑談をし始めた。
「そういえばお前、幹部なんだろ? 護衛はしなくていいのか?」
そういうとコップに口を付けながらキルマに問いかけたのはゾロだ。
「最近はしてないな、平和だし」
「武器くらい持ってんだろ。銃とか」
すると短パンのポッケから取り出した手の平に収まるサイズのそれ。
「短刀か」
「そんなんじゃないよ、ただのサバイバルナイフさ。以外?」
折り畳み式のサバイバルナイフから刃を出せばジュキンッと鋭い音を立て顔を出す。それに「うわぁ!?」とウソップとチョッパーが驚き抱き合う。
どうせ、ちっさくて細いから銃だと思ったんだろ脳筋が。と、そう捨てセリフを残しナイフをしまうと「ご馳走様」と言って立ち上がる。
「お前、強いのか?」
甲板へ向かうべくドアノブに手をかけたキルマにゾロは視線を向けた。
「…君とは戦えない、それに言ったでしょう、僕は弱いって」
少し間を開けてキルマが答える。先ほどとは違うキルマの雰囲気に空気が張り詰めたのが分かる。
「それは、弱いから戦えないってことか」
ゾロが問いただす。まるで昨日、キルマに抱いていた印象とは矛盾した問。
〝僕は弱い〟
それが、それが一体何を示しているのか。ゾロは違和感を感じていた。