第2章 ラビスタ編〝亜熱帯雨林の逆行〟
確かにルフィよりも背は小さく、この熱帯の人々に比べれば色白で細身のキルマ。見た目と彼のその言葉、立ち振る舞いで最初はすんなり受け入れたものの、所々に感じたゾロの直感的な違和感は消えることはなかった。
「幹部ならそんなわけねェだろ」
「やめなさいゾロ、キルマくんがやりたくないって言ってるんだから」
「だったら、良かったら手合わせしねぇか、最近訛ってるんだ。これ以上は散策しない。約束する。ただし、わざと負けたりなんかすんなよ」
ナミが止める言葉に耳をかすことなくゾロはそう言った。
まるでなにかを決定付けたようなその言葉にキルマは目を細めた。
二人のぎこちない空気に気づいた皆がいつの間にかゾロとキルマに視線を向けていた。
「………わざと負けなければいいんでしょ。ルールは僕が決めても?」
「もちろんだ」
「じゃあ、約束はきっちり守ってよね。僕この後仕事なんだ」
そう言って甲板へ出るキルマの後をゾロが追う。
突然起こった出来事に他で雑談をしていた皆にナミが代弁すると意外と男達はノリよく甲板へ向かい観戦の準備を始めに行ってしまった。
「良からぬことが起こらなければいいのだけど…」
「私も同意よ」
私達も行きましょ、と眉を下げて笑うナミ。ビビは飲みかけだったオレンジジュースのコップを片手に持つつとナミの腕を取り一緒に皆がいる甲板へと向かった。