第1章 ラビスタ編〝未来の海賊王へ〟
「男も女も関係ないわ。好きなようにしたらいい」
「…いえ、…僕は、見るのが好きなんだ」
「…そう。私も、あなたの綺麗な青髪の長髪も見てみたいわ」
「キルマくーん! みかん食べるー?」
〝好きなようにしたらいい〟ビビのその言葉に何を思ったのか、キルマはふっ、と鼻先で笑い口を開きかけたその時、船のラウンジ上からナミが手を振ってきた。その手に持ったいたのはみかんだった。
海賊船には稀な蜜柑畑。多くの海賊船を見てきたキルマでも木を丸々一本船に持ち込んでいる海賊船は見たことがない。
キルマが夕食中、自家栽培しているのかと聞いたところナミが故郷のココヤシ村のナミの母であるベルメール宅の蜜柑畑から木を3本持ち出し船に植樹したらしい。
「食べれるの?」と聞いたところ、ナミはうなずくか男達は必死に首を横に振る。それも異様に血走った目で。
まるで〝絶対食うんじゃねぇ〟〝二度とそんな話するんじゃねぇ〟と言わんばかりに。
〝みかんを食べる〟という言葉に異様に反応したウソップとチョッパーがギョッと顔を向けた。
あの蜜柑畑のみかんをキルマに食べさせるというのだ。ナミは相当キルマが気に入ってるらしい。それはその場にいた者全員が察した。
「いいの? 僕なんかが食べて」
「キルマくんだからいいのよ。それに、もうお代は貰ったしね」
そう言ってナミが手に持っているのは先程キルマがあげたルビーの宝石が入った箱だった。
ナミにとってこのみかんはルビーの宝石と同等の価値があるものなのかもしれない。
いいや、本当はもっと、それ以上、価値の付けられないほどのものに違いない。