第1章 ラビスタ編〝未来の海賊王へ〟
「サンジはさ、女の子が好きなの?」
キルマその質問にサンジは一度だけ視線をキルマに向けるとすぐに戻し、少し間を開けて話し出した。
「俺は…あのクソジジイに顔見せできない男には絶対にならない。女には死んでも何されようとも手は出さねェ。」
「へぇ、…じゃあそのクソジジイもサンジも紳士なんだね」
「クソジジじゃねェ、……ゼフだ。」
「ふふふ………僕も、同じだよ」
「………………同じ?」
その言葉にサンジの皿を洗う手が止まる。
一体、自分とキルマの何が同じなのか。サンジは眉間にしわを寄せキルマに視線を向けた。
「そうだよ、同じさ。僕も目的の為なら、手段は選ばない。例え悪役になってもね。」
その言葉と同時にキルマは目を細め微かな笑みを浮かべた。
〝死んでも女は蹴らないサンジ〟と〝目的の為なら何でもするキルマ〟二人の思想はどこか似ている。
キルマは「僕たちは少し似ているね」と後付けした。
「そうか、それは残念だな」
(こんなクソ野郎と同じになってたまるか…、)
再び目線を前にだがキルマの妙に自嘲気味の笑みはサンジの頭から消えることはなかった。
ひとつ瞬きを落とすとキルマは蛇口からコップに入れた水を一気に飲み干した。