第1章 ラビスタ編〝未来の海賊王へ〟
珍しく正論を言うルフィにナミも関心しながら言葉を続けた。
「そうよキルマくん。何もそんな…」
「だから言ったでしょ、人にお金を使うのが僕の趣味だって」
決まってキルマはいつものセリフを言う。口に運んだスプーンを空になったスープ皿に置くと、言葉を続けた。
「お金ってさ、ただの手段であって、いっぱい持ってるからえらいっていう理由にもならないし、燃えてしまえば形にも残らない。場合によっては、生きられる理由にもならない。だから、どんどん形に残していかないと。どうせなら自分の目に見える人達に使いたいんだ」
そう言ってキルマは盛られたタコライスを口にした。
彼の言う言葉の意味は、サンジが一番良く理解していた。幼い頃海で遭難し、金も財宝もあるのに飢え死にする寸前の地獄を見てきた。金は、時にただの紙くずになる時がある。
キルマの言う言葉に同情したのか、サンジは小さく「そうだな…」とつぶやいた。
「サンジ、このスープまだある? すごく美味しくてさ。」
「……ああ、好きなだけ食え」
サンジはキルマが差し出したお皿を受け取った。