第1章 ラビスタ編〝未来の海賊王へ〟
「じゃ、じゃあその10億ベリーってなんだよ」
「…? 貯金だよ」
「そうじゃなくて、どっからの金なんだよ」
「バカウソップ!」
皆が気になっていたことを口走ってしまったウソップにナミが慌て口を塞ごうとするが、既に遅く。まずいっと言いたげにナミが顔をひきつらせる。
それに大きく瞬きをすると何かを察したかのようににっこりと微笑むキルマ。
これにはウソップもまずい。と言わんばかりの冷や汗をかきながら目を逸らした。
「ごめん、散策しすぎた。なんでもない」そう言おうとする前に最初に口を開いたのはキルマだった。
「くれるんだよ」
それは想像していたよりも優しい声だった。
「「……くれる?」」
それを聞いたナミとウソップが首を傾げた。
「うん。ここに来た観光客が帰り際に僕にお礼を言いに来てはお金をくれるんだ。でも…生憎僕はなにしたか覚えてないから何に対してのお礼なのかは分からない。『助かった、ありがとう』って海賊も観光客も揃っていろいろくれるから『置く場所がない』って断ったら、代わりにお金くれるようになって。幹部ならベリカくらいあるよねって。……だから僕は、このお金は自分のために使わない。」
「でも、そいつらがお前にあげたくてあげたんだから、お前の金だろ」
一体いつから話を聞いていたのか、キルマの言葉にルフィが不思議そうに問いかけた。食事に夢中になっていたはずなのにまさか聞いていたとは思わず目を丸くする。