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【ONEPIECE】青 銅 の 剣 と 番 犬

第1章 ラビスタ編〝未来の海賊王へ〟



「ほら、ちゃんと見なさい。ここ。〝FRANGEL DARC〟って彫ってある」
「本当だ。僕は団長がくれたからてっきり僕名義かと…」
「ちゃんと読んでないの? あなた名義じゃなかったらその団長ってやつに10億ベリー全部横取りされるかもしれないわよ!」
「えぇ⁉ それはダメだ‼」
「でしょ⁉ だからまずは、このカードにある10億ベリーを私達に預けた方がいいわ!」
「「「ちょっと待てぃ‼」」」

 ナミの言葉と同時に思わずウソップにチョッパー、ゾロが一斉に声を荒らげた。

「おいナミ! お前盗む気満々じゃねぇか! さすがにそれは無理があるって!」
「何言ってるのウソップ! あんな奴に純粋なキルマくんの10億が取られてもいいわけ⁉」
「僕は別にナミに預けてもいいけど?」

 ナミに一切の疑いもかけないキルマ。もはやここまでくるとナミよりも彼の方も頭の方が怪しくなってくる。

「いやぁ待って、ナミはやめとけ! 他の奴にしよう! …そうだなぁ…あ‼ アイツだ! あのステーキ屋のマスターに預けろ! 経営者ならベリカくらい持ってるだろ!」

 ウソップの提案にキルマはポンッと手を鳴らす。

「ああ、確かに! じゃあ明日頼んでみる! ナミありがとう」
「え、…ええ、いいのよ」

 何を思ったのか、それは善なのか悪なのか。放った言葉とは裏腹にナミは胸を押さえながら前のめりになっていた姿勢を正した。

「じゃあお前は、その団長ってつからめっちゃ金貰ってんのか?」

 ゾロが口走る。

「うーん、日によって違うけど先月は8万ベリーだったよ」
「「「っ!?」」」
「うわ⁉ てめェら汚ねぇぞ!」
「げっほ…ゴホゴホ…ッ!」

 話には目もくれず目の前の唯一食事に夢中になっていたルフィが珍しく声を上げた。
 先程と同様の繰り返し、今度は噎せ返る皆に全ての原因であるキルマはオドオドと行き場のない優しさを散りばめていた。

 月の給料が8ベリーで、貯蓄が10億ベリー。
 一体なんの冗談か。
 ますますキルマのお金の出所が黒に等しくなっていくと同時に、彼に向けられる視線がもはや恐怖へと変わる。

 逆にここまで来たら黒以外に何があるのか知りたくなる。噎せ返るゾロとナミに続き見合わない安い給料に驚愕したのか、船内でもある程度の常識を持っているサンジやチョッパー、ビビまでもがむせ返っていた。
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