第1章 ラビスタ編〝未来の海賊王へ〟
「そっか、ビビはお姫様なんだね。」
それからキルマ達は皆とテーブルを囲み雑談が始まった。
冒険話、仲間の話、そして船に一人残っていた仲間のビビはアラバスタ王国の王女であることをキルマは知る。これから起ころうとする争いを止めるため、アラバスタへと向かっていたらしい。
「そっか、じゃあ早くエターナルポースが治るといいね。それに国のお姫様って言うなら、君はこの船にいた方が安全だね。何か欲しいものある? 僕が買ってこようか? ラビスタ島は何でもあるよ」
と、ニコニコして両頬に頬杖を突きながら言うとゾロに「おめェなぁ…」と呆れたように言われる。
「ほらお前ら、飯だ。残すんじゃねぇぞ。」
「うおぉお飯だァ‼」
そんな会話を切るように次々にテーブルに置かれるのは華やかな料理たちだった。
〝「てめぇに食わせる飯なんてねェよ」〟と言っておきながらサンジはキルマの目の前にも料理を置いた。
鮮やかなオレンジが映えた酸味が香るサーモンのカルパッチョにタコライス、ラビスタ島のパプリカと玉ねぎ、トマトに子イカを丸ごとに使ったマリネや色とりどりにテーブルに並ぶ料理にキルマは目を輝かせた。
「なんて贅沢な…」と声を漏らすキルマにチョッパーが首を傾げた。
「…そんなにか?」
「毎日君達はこんなに美味しい料理を食べているのか!」
「いやまだ食ってねっだろお前」
「食べなくてもわかる! すごく美味しい! いつも海鮮類はラビスタ島に来た観光客や君達と同じような海賊達がご馳走してくれる時しか食べないんだけど、これは今までと違う。香も見た目も格別だ。それに最近ずっと外での仕事じゃなかったから海鮮類とか食べれなくてさ…」
と、つらつらと言葉を並べ目の前の料理を子供のような目でじっと見つめる。
今まで以上に大げさに褒めるキルマにサンジは何を思ったのか加えていた煙草を一度吹かした。
「僕、ジークさんのところで肉しか食べないんだ。だから海鮮類はほんとにたまにしか食べなくて…」
「そうなのか、俺はおめぇがうらやましいぞ」
「皆ないものねだりよ」
出された料理をすでに食べ始めているルフィにビビが微笑みながら答えた。