第1章 ラビスタ編〝未来の海賊王へ〟
<「…またか。そんなことはいちいち報告してこなくていい。お前のお遊びなんざ俺は興味ねェよ。お前は伝えるべきことだけ俺に伝えればいいと何度言ったらわかる」>
「念には念ですよ。僕が何年ここでやってると思ってるんですか」
返ってきたのは皆が想像していた返答とは遠く欠け離れた薄情な言葉だった。この賑やかなラビスタ島を取り締まっているものとは思えない言葉だ。
(やっぱりこの島は本当に――。)
ナミはキルマの顔を伺った。
しかし彼は声のトーンを変えることなく、まるで上司の機嫌をうかがうように世間話をし手馴れた口先で振舞う。
<「……まあいい。キルマ、明日も同じだ」>
「了解しました。ではまた明日も宜しくお願いします」
<「…まぁ、せいぜいしくじるなよ。昨日のアイツみたいに、お前もなりたくなかったらな」>
非常な言葉を吐き捨てると電話は一方的にガチャッと切れてしまった。
「おい、とんでもねぇパワハラ上司じゃねぇか!」
「え? 団長はいつもこんな感じだよ。」
ウソップの言葉に平然と答えると子電伝虫をポッケに無造作にしまった。
「どっちもどっちだな…」
「まぁ、扱いには慣れてるからね。ささ、皆さん早く船へ行きましょう!」
「「「「俺たちの船だよ!」」」」
船へと指さしながら皆を急かすキルマに、ウソップとチョッパー、ゾロとナミが一斉にがなった。