第1章 ラビスタ編〝未来の海賊王へ〟
「優しいんだね、彼は。」
「さぁ、どうだかな。」
きっとサンジは人一倍優しくて紳士なのだろう。そう思いながらキルマは四人掛けのテーブルにぽっかりと開いた穴を見つめた。
そうでなかったら今頃サンジはここでまだゆっくりと食事を取っていたであろう。キルマの隣にいたゾロは気に留めることなく最後の一口を口に入れた。
「なんか、変な空気にさせちゃってごめんね。でもこのペンダントがせめてもの救いだよ。元はなかったんだ。ないよりましだし、それに……増えると守りきれないし。」
「…お前は、悪いやつなのか?」
「………さあね。まあ、こっちの話だから気にしなくていいよ。」
ルフィの問いかけにキルマは苦笑しながら答える。
「まぁ、目的の為だったら、……僕はなんだってするよ。」
そう小さく呟くと手に持っていたグラスの水をグッと飲み干した。空になったグラスをジークに差し出す前に、近くに置いてあるピッチャーがキルマの視界に入る。
一体いつジークが置いたのか、キルマは首を傾げながら置いてあったピッチャーを手に取り、空になったコップに水を注ぎ、近くに置いてあったゾロのグラスと観葉植物のモンステラに水を注いだ。