第1章 ラビスタ編〝未来の海賊王へ〟
「………女は弱い。権力もない。生きる価値もない、ただこの世にごみを生み出すだけの道具」
ここで皆は初めて知ることになる。世間一般から見て経済が発展しているラビスタ島の裏の顔を。ここは鮮やかな皮を被った男女差別の独裁国家だということを。キルマのその言葉に空気が凍り付いた。
「…ってうちの団長がね。この島はすべてうちの団長が仕切ってる。団長が絶対だ。」
「…お前は、……そう思ってるのか」
そう言い終わるとキルマは椅子をクルッと回し、再びステーキを口にしようとするキルマに、隣に座っていたゾロが問う。
するとキルマは少し考えてから小さく鼻で笑った。
「……………そうだね」
そう呟くように言うとサンジが突然食べるスピードを速め水を一気に飲み干した。荒っぽい食べ方から想像もつかないほど今度は優しくコップを机に置おいた。
「その話、二度と俺の前ですんじゃねぇ。飯がまずくなる。だがオーナーの料理は、今までで一番うまかったぜ。」
そう言い残してサンジは店から出ていた。
「さ、サンジくん!」
「放っておけ、アイツはああいうやつだ。」
「で、でも…っ!」
「どうせ船に戻ってる」
「…そうかもしれないけど」
ナミが立ち上がり後を追おうとするがゾロがそれを止める。屈託な表情を見せつつもナミはゾロに言われた通り再び椅子に背を預けた。