第1章 ラビスタ編〝未来の海賊王へ〟
「長らくの乗船お疲れさまでした。未来の海の戦士達、ようこそラビスタ島へ。」
降りてきた船員達に向かってキルマは笑顔を向けた。
「いやぁ、まさかあの嵐をくぐってきたなんて驚いたなぁ…もう今日は砂遊びして終わりかと思ったよ!」
先ほどの挨拶とは打って変わって快活に言葉を続けるキルマ。
初めて来る島の緊張感。噂とはかけ離れた人と船の異常な少なさ、それにかしこまった格好の者が到着してそうそう堅苦しい挨拶をすれば、何かといろんな想像が膨らむだろう。
彼の声を聞くや否や、ひとまずと船員達は肩を撫でおろした。
「当たり前だ! メリー号に渡れない海なんてねェ!」
「今まで嵐の中くぐってまでラビスタ島に来たのは君達が初めてだよ! 流石未来の海賊達! 気合が違うね!」
その言葉にニシシッと上機嫌に笑うただ一人を除いては。
「それでこんなに人がいないのか…」と長鼻の男が納得した。どうやら警戒していたのはそのせいだったようだ。
「それより、俺達まだ飯を食ってねェんだ。ひとまず食事をしたいんだが…いいところを知ってるか?」
金髪の男がそう問いかけるとその男を押し倒し「肉!!肉肉肉!!肉がいい!!」と、麦わら帽子の船長が横から割り込んでくる。
「肉ならいいところ知ってるよ!」
キルマの言葉に「ほんとか!?」と目を肉にさせ、よだれを垂らすルフィ。
この船員達を見たところ、おそらく一番年下であろう彼が船長だということにキルマは疑問を抱く。
しかしどうあがいてもあの海賊旗が揺るぎない証拠だ。確かに船長に年齢は関係ない。
しかし、彼だけはどこか違った。今まで見てきた海賊の船長とはだいぶ違う。ほんとに彼が船長なのかと疑いつつもキルマは表情を崩さず言葉を続けた。