第1章 理想のペアと自動販売機
「あなたねぇ、さっきの高校生3人の会話を聞いていなかったのですか。上のナンバーコートを狙う作戦会議みたいなことをおっしゃっていたでしょう」
「もちろん聞いてたよ。聞いてたけど、1番から順番に回った方がいいと思ったんだよ」
「丸井くん、効率悪くないですか。反対に16番コートから回った方がいいと思いますが」
「わかった。16番コートから回ろうぜぃ。行くぞ、キテレツ」
と、丸井が行こうとしたところ、木手がストップかけます。
「丸井くん、16番コートの行き方、知っているのですか?」
木手の質問に丸井は笑顔でスローモーションのように振り返りました。
「知らね……」
「だと思いましたよ。地図見なさい、地図を」
呆れた表情で小さくため息をついた木手は、合宿所の地図が描かれてある看板を指さします。
「そんなにチーズ、チーズ言うなって」
「いえ、地図です」
細目で言っていた丸井に冷静に言っていた木手です。
「どれどれ……」
丸井は風船ガムを膨らませながら地図の看板を見て、木手と今いる場所から16番コートへの行き方を確認し、出発しました。