第1章 理想のペアと自動販売機
「キテレツ、このあと暇か?」
と、丸井は横目で木手を見て、風船ガムを膨らませます。
「ええ」
木手はメガネを光らせたままでいました。
「高校生たちが言っていたオレたちのまだ知らない自販機、これから探しに行かないか?」
「名案ですねぇ。ぜひ、探しに行きたいところです」
「よし、行こう!」
こうして、理想のペアは自分たちのまだ知らない自動販売機がUー17合宿所のどこに設置されているか、探しに行き始めるのでした。
まず、玄関の近くにあった合宿所の地図が描かれてある看板を見に行き、どこから探しに行こうか相談し合います。
「どうする? キテレツ」
「……合宿所、広いですからねぇ、隅々まで探していると日が暮れてしまいそうです。どなたか、ワタシたちがまだ知らない例の自動販売機のことを知っている人を探した方が早いでしょう」
丸井に振られ、木手は少し考えてからそう答えました。
「そっかぁ、さっき自販機の前で会話をしていた高校生3人が何番コート所属か聞いておくんだった」
「それは無理と言うものでしょう。初対面の方たちにそのような質問は」
「だな。1番コートから聞いて回ろうか」