第1章 理想のペアと自動販売機
数日後、サーキット練習の終わりの時間、丸井は宿舎部屋の自動販売機の前でどの飲み物を買おうか選んでいました。
「今日は何、飲もうかな。喉渇いているときは飲み物何でもおいしそうに見えるんだよなぁ。うん、よし、決めた。今日は中くらいの段の炭酸飲料にすっか」
「丸井くん、インストールはしたのですか?」
後ろからいきなり木手の声がしたため、丸井は間違って炭酸飲料の隣の果汁飲料の押しボタンスイッチを押してしまいます。
「木手ぇ……」
丸井は取り出し口から間違って買ってしまった果汁飲料を取り出し、苦笑しながら振り返りました。
「勘違いしないで下さいよぉ。この前の仕返しではありません。ここを通りかかったらあなたの姿が見えたので声を掛けただけです」
「別にそんなこともう気にしてねえよ。インストールってポイント貯めるとキミ様のグッズが当たるアプリのことだろい? もちろんインストールしたぜ。お前は?」
「はい」
木手は丸井に携帯の待ち受け画面を見せます。そこには、今2人が会話していたアプリがインストールされていました。
「木手もちゃっかりインストールしてるな。お?」
楽しいメロディーが近くで聞こえたため、丸井は自動販売機の方へ向き直ります。すると、ルーレットの数がそろっていたのです。