第1章 理想のペアと自動販売機
先ほど、木手と探し出した缶ジュースのかたちのシールが貼ってあるボールでした。
丸井は反対側のポケットに入れていたボールも取り出し、あともう1個のシールの貼ってあるボールを木手に見せてもらいました。それぞれのボールに貼ってあるシールを見た丸井は、
「やっぱり……」
と、つぶやきます。
「オレも分かった気がします」
木手もそれぞれのボールに貼ってあるシールを見て、高校生⑧の飲んだ自動販売機の飲み物の答えが分かったようです。
理想のペアは一旦出したボールをポケットに入れ直しました。
「なあ木手、ラケットトス、いらねえよな?」
「ええ、必要ありませんねぇ」
「答え、一致しそうだな。よし……」
「あなたの飲んだものは、下の段の茶系飲料でよろしいですか?」
「キテレツ……」
一緒に答えようと思っていた丸井でしたが、先に木手に答えを言われてしまい、ずっこけました。
高校生⑧「……………うん、正解!」
しばらく間を置いてから、高校生⑧は丸のポーズを両手で表現し、にやっと笑います。
丸井が喜んだ表情を木手に向けると、木手は一瞬驚きましたがふっと微笑します。