第1章 理想のペアと自動販売機
丸井の探し方の効率が悪いと思ったか、木手が声を掛けます。
「あなた、大丈夫ですか?」
「大丈夫って? 大丈夫だろい」
丸井は目のコンディションのことを木手に尋ねられたと思ったようです。片目を片手で隠し、もう片方の手でグッドサインを出し、缶ジュースのかたちのシールが貼ってあるボール探しを続けて探していました。
そうしているうちに、やがて丸井はどのボールがまだ探していないボールかわからなくなってしまいます。困った表情の少年に、木手は小さくため息をつき、再び声を掛けました。
「丸井くん、調べ終えたボールは1個ずつオレがはじいた方の場所に、はじきなさい。その方がまだ探していないボールがどれかわかりやすいでしょう。あのベンチの下の方がはじきやすいのでは?」
「そっか、オレ、何してたんだろ。わかった、そうする」
丸井は風船ガムを膨らませ、改めて1個ずつボールを調べ、缶ジュースのかたちのシールが貼っていないか見たあと、近くにあったベンチの下の方へ転がし、はじきます。
理想のペアが繰り返し、ボールを調べ、ベンチの下の方へ転がし、はじいているうちに、缶ジュースのかたちのシールが貼ってあるボールを3個見つけ出すことが出来ました。