第1章 理想のペアと自動販売機
高校生⑦「ここはオレら以外、入っちゃダメなコートだ。出て行きな」
丸井と木手が、誰がここから出て行くかよ、自分たちは10番コートのメンバーで用がある人がいるんですけど、と無言で高校生たちを睨んでいると、高校生の1人がラケットを突きつけてきました。
高校生⑧「どうしても、10番コートに入りたかったら、オレたちのゲームに勝つことだ」
「ゲーム。オレ、大好きです」
丸井が風船ガムを膨らませ、
「受けて立ちましょうか」
木手は微笑し、高校生たちのゲームに挑戦します。
高校生⑥「お前らが負けたら、ここから立ち去ってもらう」
と、言った高校生⑥に、
「わかりました」
と、返事をした丸井は木手と高校生たちのラケットを借りました。
「すみませんねぇ、ラケットを貸していただいて」
木手が高校生たちから借りたラケットを片手に持って言うと、
高校生⑦「ラケットはサーキット練習のない普段のときも持ち歩くものだぜ」
と、両手を腰にやった高校生の1人です。
そんなにラケットをしょっちゅう持ち歩いていられないよな、そうですよねと理想のペアは心の中でまるで会話をしているように顔を見合わせていました。