第1章 理想のペアと自動販売機
「はい、もちろん。なっ、キテレツ……って、あれ?」
隣にいた木手の姿がなく、丸井はキョロキョロ見渡しました。すると、木手はベンチに座っていたのです。
「丸井くん、頑張って下さい」
「ちぇ、本当にあいつ、オレとダブルス組むの懲りたのかよ……」
高校生④「君が相手か」
「はい、先輩が勝ったら、木手と選手交代ってかたちでお願いします」
高校生⑤「わかった。丸井くん、勝負だ。君がオレに勝ったら知ってること教える」
「始めましょう」
高校生⑤の話をしっかりと聞いた丸井は大きく頷きました。少年はラケットを宿泊部屋に置いてきてしまったため、彼からラケットを借り、ワンセットマッチ始めます。
打ち合うこと30分、丸井が得意技の妙技綱渡りや鉄柱当てを決め、勝利しました。
高校生⑤「オレの負けだよ。約束通り、知ってること教えるよ。すまない、オレたちは例の噂になっている自動販売機の設置場所を知らない」
「何ですか、それは」
ベンチに座っていた木手が高校生⑤の背後に来てメガネを光らせます。高校生⑤はびくっとなっていました。
高校生④「そう言われたって、知らないものは知らないよ」
「ゴーヤー食わすよぉ」