第1章 理想のペアとカレイドスターズ
「帰ったっていいのよ。無理しなくて」
と、言った黒い髪の女の子はその場から出て行ってしまいます。
「……ああ言われると何か負けたみたいで悔しいな。オレもやるよ、ショー」
「丸井くんならそう言ってくれると思っていましたよぉ」
木手はメガネを光らせ、ふっと笑っていました。
「けど、オレ、サーカスってそんな出来ないけど」
「オレも素人です。ですが、このあとの公演まで間に合わせてくださる特訓のコーチをここのカレイドスターの方が招いてくださったそうですよぉ」
「へー、誰なんだろう」
「まだいらっしゃってないそうですね」
「あ……」
ここで丸井のお腹が鳴ります。
「あなたのことだから、美味しいお店を探している途中でここに来てしまったってところでしょう」
「キテレツ、お前、オレの行動をどっかから見てたわけじゃねえよな」
「そんな暇ありません。あなたの日頃の行いがわかりやすいのです。ハンバーガーショップ、さっき、チラシを配りに行ったときありましたねぇ」
「行く行く、キテレツ、一緒に行ってくれるだろい?」