第1章 理想のペアとカレイドスターズ
テントの中に入ると、チラシに写っていたサーカス団のメンバーが並んでいたのです。
「ケン、新入り?」
紫の髪の少女が最初に出迎えました。
「うん!」
ケンと呼ばれていた金髪の男の子が元気良く頷くのと反対に、丸井は思い切り首を振っています。
「ちがうって言ってるわよ。あんた、また無理矢理連れて来たでしょう」
黒い髪の女の子がわかってくれたからか、丸井は何度も頷いていました。
「またって、木手、まさかお前も?」
あとから来た木手の方を振り返りながら丸井は聞きます。
「はい。ですが、困っていたようなので」
「さっきもそれ言ってたな。何だよ。困っていることって」
「……教えません」
「余計気になるんだけど」
「なら丸井くん、これならいかがですか。このあとの公演でオレとあなたのショーが上手くいかないとここから帰ることが出来ません」
「ええー、向こうの困ってることが気になるけど、お前のそれ聞いてるとこっちが困ることじゃねえか」
「だから、この方たちとショーに出る他、選択肢がありません」
「そんな……」
突然のことに丸井はその場に座り込んでしまいました。