第1章 理想のペアとカエル族とカエルに変身する少年
「あ、そう。けど、ここの人たちは関係ないだろ、マカエル。元の姿に戻しな」
アオイが言うと、マカエルはぺろっと舌を出し、
「嫌だね。少年の頼みを素直に聞くほど、オレは優しいカエル族じゃない」
と、言いました。
「今、カエル族ってあの人言ったか?」
丸井が木手に振ります。木手は頷き、
「あなた、人間ではないのですか?」
と、マカエルに聞きました。
「まあな。普通の人間とちがって、ジャンプ力だったり、運動能力が高い方かな」
「と、いうことは君もそう? カエル族?」
今度はアオイに振った丸井です。
「いいや、オレは普通の人間だよ。カエル族のマカエルの魔法に困っているんだ」
「困っていることって、これのことか?」
と、マカエルは魔法で水の入ったバケツを出し、アオイにかけます。すると、アオイは青いカエルの姿に変わってしまいました。
「あ……」
目の前で人間からカエルの姿に変わってしまったアオイに丸井は開いた口がふさがりません。木手の方は冷静な表情でいました。
「こらー、マカエルー!」
カエル姿のアオイはぴょんぴょん跳ねながら怒ります。