第1章 理想のペアとカエル族とカエルに変身する少年
理想のペアが尋ねても、カエル4匹はケロケロ鳴き、ぴょんぴょん跳ねていただけでした。
「参ったな。これじゃあ何て言ってるか、わからねえ」
丸井が困っていると、木手は少し考えたあと、こう言います。
「真田くんといい、甲斐くんや田仁志くんたちがカエルになるといったこんな現象、劇か夢かバーチャル世界に行ったときか魔法使いの魔法以外有り得ないでしょう」
「ほっぺたをつねくってみようか。ジャッカルの」
と、丸井が言うと、カエル姿のジャッカルはケロッと鳴いたあと、ぴょんぴょん逃げて行ってしまいました。
「あなたね、自分の頬をつねりなさいよぉ。……痛いですね」
木手は自分の頬を試しにつねくると、痛みがすぐ走ります。
「夢じゃねえみてえだな。バーチャル世界でもなさそうだぜ。ということは魔法使いの仕業か」
丸井も自分の頬をつねり、そうつぶやくと、
「その通りさ。全部あいつがやったんだ」
青い髪の少年がやって来て返事をしたのです。
「あいつ?」
「あそこじゃないですか、丸井くん」
木手の指した先に木の枝の上に立っていた黄緑色の三つ編みを一つ縛りしていた青年がいました。彼はにっと笑います。
「オレを捕まえようとしていたから、みんなカエルに変えた」