第1章 理想のペアとカエル族とカエルに変身する少年
外がこんな状況になっていることを知らず、1番コートの徳川カズヤはトレーニングルームで筋トレに集中、3番コートの入江奏多は宿舎部屋で演技の練習のための読書に集中、5番コートの鬼十次朗も宿舎部屋で飼っているハムスターのカエデのお世話に集中していました。
また、丸井ブン太と木手永四郎の理想のペアは、合宿所の施設内の掃除当番だったため、フロアをモップがけしていました。
「キテレツ、そっち終わった?」
丸井はモップの柄を両手で持ちながら、後ろ姿でモップがけしていた木手に声を掛けます。木手は丸井の方を振り返り、
「ええ、終わりましたよぉ」
と、モップの柄を片手持ちしました。
「早くテニスしたいな。コート行こうか」
「今日は自主練の日でしたね。丸井くん、打ちましょうか」
「もちろん! オレもキテレツと打ちたいって思ってたところだったぜい」
丸井と木手はモップを片付け、ソファの近くの壁に置いてあったマイラケットを持ち、コートに行ってみます。
合宿所の玄関を出て歩いたところ、黒い帽子をかぶったカエルが現れました。
「あれ、珍しいな、帽子をかぶったカエルがいる」
「……あなた、真田くんですか?」
黒い帽子をかぶったカエルをよく見て、真田と気付いた木手でした。