第1章 理想のペアとカエル族とカエルに変身する少年
「はぁ、あの人たちは放っておきましょう」
「ああ、そのうち戻ってくるだろい」
「次はオレのサーブでしたね。ボールください」
「はいよっと」
マカエルのコントロールが良かったか、彼の投げたボールを木手は上手くキャッチ出来ます。
「……」
アオイはうつむいていました。このまま負けたら終わりだとプレーする気力まで失いかけます。少年は木手のサーブ取れません。
「おい、アオイ、どうしたんだよ…」
少年の異変に気付いたマカエルが声を掛けました。
「ははは、やっぱりオレたちがテニス出来る人たちを相手に勝てるわけがなかったんだよ」
「アオイ…」
「もう終わりだ。この試合に負けたらマカエルはオレを元に戻してくれない。オレは一生カエルの姿のまま生きるんだ…」
「アオイ、誰がお前を元に戻さないと言った。お前、オレがお前に魔法を掛けた意味を考えたことないだろ」
真面目な表情で言ったマカエルです。
「ああ、考えたことないね。イタズラ以外に思いつくことあるもんか」
アオイはそのあとフンと言い、両腕を組んでいました。
「はぁ、知りたくないか? オレがお前にカエルになる魔法を掛けた意味を」
マカエルはアオイに耳打ちします。
「…知りたい!」
アオイはマカエルの方を真っ直ぐ見て言いました。