第1章 理想のペアとカエル族とカエルに変身する少年
「赤い髪のしょうねーん、さっきは悪かったなー」
マカエルが謝ると、丸井は風船ガムを膨らませ、構えていました。
「マカエル、サーブ」
「そっか、こっちがサーブをする番だったな」
アオイからボールを受け取った青年は、サーブを打ちます。
「さっきのハプニングのおかげで、オレもカエル姿でプレーするコツを掴んだぜぃ」
「天才はそうでないと」
相手のサーブを打ち返せるようになった丸井に木手は平静を装っていましたが、内心は喜んでいました。
「やっと、まともな勝負になりそうだな」
「どうする、マカエル、もうあの二人から点を取るのは難しいぞ」
「そんなこと言ってていいのか、少年。元の生活に戻れなくなるぞ」
「うるせー」
「あの二人の息が乱れてる。今だ、妙技綱渡り! どう? 天才的ぃ!」
「あ、お前と言い争ってる場合じゃなかった」
アオイが悔しそうに跳ねます。
「ホント、手強くなってきたな」
マカエルの表情が引き締まってきました。青年がサーブを打ったあと、理想のペアが次々に点を入れてしまうためです。
「よっしゃあ、ゲーム5-3! マッチポイントさぁー!」
「永四郞、丸井ー、セット決めるばぁー!」
「と、言いながらどこへ行くー!?」
甲斐と田仁志が跳ねながらそのままどこか遠くへ行ってしまい、丸井が大声をあげました。