第1章 理想のペアとカエル族とカエルに変身する少年
「そうですか。なら、オレもこのままの姿で行きます」
「キテレツ…」
「言っておきますが、一人だけ人間の姿に戻っても何もならないからです」
そっぽを向いていた木手に丸井は穏やかに笑っていました。
「リーゼントの少年、早く打ってこーい。はーやーくー」
マカエルがからかったような調子で声を出します。
「ふん!」
木手はこれまでとやり方を変え、高くジャンプし、コーナーギリギリのところを狙ってサーブしました。
「何!?」
あまりのボールの速さでマカエルは反応出来ず、アオイも動けませんでした。
「15ー0」
と、言ったのは木手です。
「キテレツ、やった!」
「これくらいで喜ぶのはまだ早いですよぉ」
木手は次々サーブを決めていました。
「40ー0か。次のサーブこそ取るぞ、少年」
「わかってる」
「次はやばいか…」
マカエルとアオイの会話を聞いていた丸井は、カエル姿で風船ガムを膨らませます。
「カエル姿でのプレーのコツがだいぶ掴めてきましたよぉ。これで、もう1ゲームいただきです」
と、木手がサーブを打ったときです。アオイが返してきました。丸井が拾いに行きますが、思うようにジャンプが出来ません。