第1章 理想のペアとカエル族とカエルに変身する少年
「言われなくても」
いつもの調子で木手はサーブをしたため、ボールがネットに引っ掛かってしまいます。フォルト2回してしまい、アオイとマカエル側に1点入り、0ー15(ラブフィフティーン)です。
木手はもう一度サーブを打ちましたが、ボールがネットに引っ掛かり、またフォルト2回してしまいました。アオイとマカエル側にもう1点追加で、0ー30(ラブサーティー)です。
気を取り直し、木手はサーブをもう一度打ちますが、ボールがネットを越えることが出来ません。結局、アオイとマカエル側に1ゲーム取られ、得点が3ー1になります。
丸井と木手は、ラケットを片手に持ったまま固まってしまっていました。
「木手ー、どうしたさぁー」
「いつもの永四郎らしくないさぁー」
甲斐と田仁志がぴょんぴょんぴょんぴょん跳ねながら声をあげます。
「………」
木手は仲間の声は聞こえていましたが、カエル姿でサーブが思うように上手く出来ないことに動揺していました。
「(キテレツ……)」
そんな木手をチラッと振り返りながら丸井は心配します。
「どうした、リーゼントの少年。いつもならサーブ入るだろう」
マカエルがからかったような調子で木手に言いました。