第1章 理想のペアとカエル族とカエルに変身する少年
「ラケットとボールが風船に変わったとしても、威力が本来のテニスと同じならもう怖くないですねぇ。普通にプレーをするだけですね、普通に」
「普通にプレーが出来るのがやっぱ1番だな。まだラケットとボールが風船で変な感じはするけど」
「少年、普通に決められたな。だから、オレと話してる場合じゃないかもって言ったのにな」
「何だよ、みんなして普通、普通って」
「少年は今、普通じゃないからその言葉が刺さるんだろう」
「お前だって、普通じゃないだろー」
マカエルに食ってかかったアオイです。
「内輪もめが始まったな……」
丸井は風船ガムを膨らませ、木手と目を合わせます。
「ほらほら、普通でも普通じゃなくても、そんなのどっちだっていいだろう。この試合に勝てたら少年は元の姿に戻れて普通の生活に戻れるわけだ」
「マカエル、今の言葉、忘れるなよ」
「どうしようかなー」
マカエルはぴゅーと口笛を吹いたあと、サーブを打ちました。木手が打ち返すと、アオイもさっと打ち返します。
「おっ、やるじゃん。またこっちに打ち返してみろい」
丸井が次に打ち返したあと、アオイが打ち返すと、丸井はにっと笑い、得意技の妙技綱渡りを決めました。