第1章 理想のペアとカエル族とカエルに変身する少年
ラリーがその繰り返しだったため、お互い点がなかなか決まりません。
「この調子でいくと、日が暮れてしまいますねぇ。ラリーだけで終わってしまいます」
「風船のボールだからすぐ取れるし、やってて楽しいけど、勝負がつかなくなっちまうな。よっと」
木手が言ったあと、丸井がそう言い、風船のボールを打ち返していました。
「少年たち、風船のテニスもう飽きたか。なら、風船のラケットの固さとボールの威力を本来のテニスのものに戻そう」
マカエルはぶつぶつと呪文のようなものを唱えます。すると、風船のラケットとボールの形に変化はありませんでしたが、マカエルが打ち返したことで風船のボールの威力が上がります。
「何!?」
マカエルの打ち返した球が早く、丸井は取れません。木手も球が拾えなかったようです。マカエルとアオイ側に点数が入ります。
「マカエル、お前、テニス出来るのか」
「オレはスポーツ、大の得意だ。というか、カエル族でスポーツが出来ない奴はいない」
「いいな、カエル族は」
と、アオイは羨ましそうにマカエルに言っていました。
「少年、オレと話してる場合じゃないかもよ」
マカエルが次のサーブを打ったとき、木手が縮地法で移動し、球を返します。このとき、アオイは拾うことが出来ず、今度は理想のペア側に点数が入りました。