第1章 理想のペアとチームQ4(キューフォー)と?
「オレは丸井ブン太です。シクヨロ。んで、キテレツ」
「木手永四郎です」
丸井が「キテレツ」と紹介したため、名前を言い直します。
「よろしくお願いします」
「よろしくね」
にこっとアイチとミサキが言ったあと、櫂とカムイが会釈しました。次に新田店長がUー17合宿所入口門前のところで車を停めていたわけを話します。
「丸井くん、木手くん、実はですね、出張先に行く途中、道に迷って、しかも僕の車のタイヤが1つパンクしてしまってね」
新田店長は自分が座り込んでいたワゴン車の前輪のタイヤを指さしました。
「あちゃあ、ぺしゃんこだな、キテレツ」
「なぜ、オレを見るのですか」
丸井が、パンクしていたワゴン車の前輪のタイヤでなく、木手に視線を送っていたため、ぎょっとなります。
「いや、パンクしてるタイヤ見てたらさ、シャッフルマッチ思い出した。お前、前に遠野先輩にあちこちやられてただろう。喉と手足、大丈夫かよ?」
「人のこと心配してる場合ですか? あなたこそ、彼の得意技でお腹の方くらってたでしょう。それに、プレー中の事故で受けた片目のケガと、視力落ちてないですか?」
「ああ、もうそんなに痛くねえし、視力は測ってねえから分からないけど、片目隠して見ると、とりあえずみんな見えてるから大丈夫だろい。まあ、試合後、食欲なくてしばらくケーキが食えなかったけどな。今はいつも通りだぜい」