第13章 あなたは…誰…?
『消くん…私っ…!!』
“私も一緒に行く”
言葉は少なくても
消くんに私の意思はしっかり伝わった
その上での彼の返答。
「…平気だ。お前は出来るだけ敵に個性を隠せ。13号、任せたぞ」
そう言った消くんは1人で
ヴィランの大群に向かって突っ込んで行った
それを言われてしまうと、
一緒に戦いに行くことなんて出来ない
“個性を隠す”、
これは私のためだけじゃない。
皆の為でもある。
私のこの個性を敵に知られたら、
個性を求めて私が狙われる可能性がある
そしてもし、この個性を悪用されたら…?
被害の規模はきっと、
尋常じゃないほど大きくなる。
昔からそうだ、
大人は私にヒーローになれと言うのに
なるべく個性を敵に見せないようにしろと
矛盾しているような事を言われ生きてきた
確実に勝てる確証がある時だけ
個性の使用を許される。
敵を確実に仕留めて、
私の情報を
持って行かれないようにするためだ。
私がおおっぴらに個性を
使えるようになるためには早く個性を
使いこなせるようにならなくてはいけない
そして今この状況を見て、
確実に勝てるとは思えない。
戦いたいのに、戦えない。
私は拳をきつく握りしめたまま、
その場で消くんの
背中を見ることしかできなかった
ゴーグルで目線を隠すことで
誰の個性を消しているのかを
敵に悟られないようにし、
その隙に捕縛布での攻撃。
一人であれだけの数と同時に戦う消くんは
さすがプロヒーローだと思わせられる程に
すごいし強いけれど、私には、
ここにいる皆を、
生徒を安心させるために
無理して飛び込んでいったように見える。
「皆、早く避難を!!」
「させませんよ」