第11章 テメェを俺に惚れさせる
−あくあside−
爆豪くん改め勝己くんが立ち去った後
私はへなへなと床に座り込んだ
(え…勝己くんが、私を…?)
色々起こりすぎて頭が追いつかない
ここが一応校内の廊下だということも
忘れて私は床に座り込んだままだ。
だって、初めて会ったの昨日だよ…?
それに…初対面あれだし…
なんかめっちゃ怒鳴ってきたし…
どっちかといえば嫌われてると思ってた
だからこそ、意外すぎて驚きを隠せない。
「あくあちゃん…どうしたの?…大丈夫?」
『出久くん…?!あ、えっと…これは、その…』
横から出久くんの声がしてハッと我に帰る
人気のない廊下の曲がり角から
出久くんがひょこっと現れた
この状況をどう説明しようか
こんな場所で一人で座り込んでるとか
誰がどう見てもおかしいはずだ。
「さっきの騒ぎではぐれた後教室に戻って来てなかったから…無事でよかった。ほら」
『ありがと…』
さっきの出来事を話すわけにもいかず
必死に誤魔化そうとする私に
何があったのかは何も聞かず、
立ち上がりやすいように手を差し伸べてくれた
(出久くんてばこういう時も優しいんだよなぁ…)
出久くんは人の感情を
読み取るのが得意だと思う
去年初めて出会ってから
ニコニコ笑っているつもりでも
悩み事がある時は気づかれちゃうし、
私が言いたくない事に関しては
何も聞かないでくれる
「もうすぐ午後の授業始まっちゃうし、教室戻ろっか!」
『うん!』
私は少し前を歩く出久くんを追いかける
この時の私はさっきの勝己くんとの会話を
出久くんに聞かれていた事なんて
知る由もなかった。