第2章 これが私のスタートライン
「あくあ少女?」
『俊くん?!』
「懐かしい歌声だな」
突然自分の名前を呼ばれてハッと振り返ると
そこにはNO.1ヒーロー、オールマイトがいた。
彼とは色々あって幼い頃からの知り合いだ。
なんでそんな有名なプロヒーローが
こんなところにいるのか、
とか聞きたいことはあったけど、それよりも、
『オールマイト…私、今からでも、
自分の意思でヒーローを目指してもいいのかな?』
私はNO.1ヒーローオールマイトから、
この質問の答えを聞きたかった。
私が雄英に入ったら
NO.1ヒーローはどう思うだろう。
『って、変なこと言ってごめん。今の忘れて!』
答えが聞きたくて聞いたはずなのに
自分で遮ってしまった。
聞くのが、否定されるのが、怖かった。
こんなこととっくに分かっていたけど
心のどこかで私はきっと、
ヒーローに憧れている。
「あくあ少女は、
ヒーローになれるだけの個性を持っている。
もし君がヒーローになりたいと思うなら、
きっと君は強いヒーローになれるぞ」
『…でも私の個性は…』
「いつまでも過去に囚われていちゃダメだ。
少しの勇気で、君の世界は変わるかもしれないよ。」
オールマイトがそう言ってくれて、
私の心はすこし軽くなった気がした。
こんな私でも、
ヒーローを目指していいのかな___________
そこで私が口を開こうとした瞬間、
男の子の声が耳に入ってきた。
「はぁ、はぁ……オールマイトっ、
ランニング、完了しました!」
その子は全速力でここまで走ってきたようで
すごく息が切れている。
彼の言動からすると、
彼とオールマイトは知り合いなのだろう。
きっと弟子か何かだ。
「おつかれ、緑谷少年!
では早速次の特訓へ行くぞ!」
「はいっ!!」
え?ちょっと待って??
この子めちゃくちゃ息切れしてるし
すごい疲れてそうなのに休憩挟まないの?!
そうツッコミたくなった。