第10章 学級委員長争奪戦!
−相澤side−
自分でも生徒にこんなに
優しくする日が来るとは思っていなかった。
生徒と言ってもあくあとは
付き合いが長いけど…
“何かあったらすぐ言えよ、いつでもこうしてやるから”
こんな言葉が自分の口から
出てくるのも衝撃だ。
あくあを引き取ったのは
10年前のあの日。
親も友達もいなくなって
行き場を無くしていた所を俺が引き取った
正直初めは同情というかなんというか、
他にあくあを
引き取ってくれそうな人はいなかったし、
むしろ皆それを嫌がった。
個性がいつ暴走するかもわからない
そんな危険な子を家に置きたく無い、と。
そう言われて1人でうずくまっている
彼女をみているのが辛かった
だからあの時手を差し伸べた。
俺の個性なら暴走した時に止めてやれるし
あいつもちゃんと自分の立場を
理解していたからこそ
文句ひとつ言わなかったのだろう。
とりあえず住む家と
食事と生活に困らないようにしてやろう
それだけだった
なのに俺はいつのまにか
あくあのことを本当の
妹のように見るようになっていた
あくあが悩んでいたら
解決してやりたいし、
支えになってやりたい
そう思う程に。
「……がんばれよ、あくあ」
廊下を歩くあくあの背中に向けて、
小さくそう呟いた。