第9章 無防備すぎるお前が悪い。
−轟side−
(やっちまった…)
気づいた時にはあくあを
押し倒してしまっていて、
自分でも自分の行動に驚いた。
あんなに余裕なくなるとは…。
でも、あくあもあくあで
途中から抵抗してなかったし、
あんな表情間近でされたらやめる方が無理だろ。
俺はもうあくあに惹かれている
だから、今一緒にいるのが他の奴なら
あんな事にはなっていない
あの時あくあの個性が発動しなかったら、
あくあが抵抗しなかったら、
俺はあそこで止まれていただろうか。
「あくあ、お風呂ありが……って、寝てるのか…?」
手早くお風呂を済ませて戻ってくると
あくあがソファーに横になったまま眠っていた
「おい、そんなとこで寝るな。ちゃんとベットで寝ろよ」
トントンと軽く肩を叩いてみるが起きる気配はない
スースーと静かに寝息をたてながら眠っている。
(さっきあんなことがあったのに、
警戒心のかけらもないな…)
さっきのことがあった後にこんな
無防備な格好でリラックスした状態で
ソファーで寝るとか…。
(これ、きっと今ここにいるのが俺じゃなくても同じ事してるよな…)
やっぱり逆に色々心配になる。
眠っているあくあの表情は柔らかくて、
今まで初対面からあくあには
“綺麗”という言葉が似合うと思っていたけど
案外“可愛い”系なのかもしれない。
あくあが起きる気配は全くなさそうだったので
俺は両手であくあを抱き抱えて
ベッドに寝かせてやった。