第9章 無防備すぎるお前が悪い。
−あくあside−
『…はぁっ…しょう、とくん…』
な、何が起こってるの?
いきなり押し倒されて、そのままキスされて、
こういう行為に耐性がない私は
今にも心臓が飛び出そうだ。
焦凍くんの顔が目の前にある。
ここまで間近で見るとほんとに綺麗な
顔立ちをしてるのが分かるし表情もよく見える。
先程までとは違う表情。
狼みたいに、ギロっと表情を変えた
綺麗なオッドアイが私を見つめている。
『ひゃっ…!?』
やっとキスの嵐が止んだかと思うと
今度は突然軽く耳を噛まれた。
舌で耳をなぞられてゾクッとするような、
なんとも言えない不思議な感覚が押し寄せる
「あくあ…」
(お願いだから、耳元で喋らないで〜っ…!!)
耳元に焦凍くんの息がかかって
私の体はびくっとした。
しかも焦凍くんイケボだし。
こんな近くで話されると私の心臓がもたない。
チュッ、チュッと音を立てながら
その音は耳元からだんだん首元に下がっていく
『っ…!!』
首元にピリッとした痛みが走って、
焦凍くんのキスは
首元から下へ下がろうとしていた。
『も…それ以上は…っ…やめ……
…やめてって、いってるでしょおおお!!』
その時、私の個性が発動した。
無意識だった。
押さえつけられていた両手から個性が発動して
焦凍くんの顔面に直撃してしまったのだ。
しかも結構威力のあるやつが。
勢いで私の上に馬乗りだった焦凍くんは
そのまま後ろに倒れてソファーの向かいの
手すりによっかかる状態になっていた。
(はぁ…、び、びっくりした…。心臓もたないよっ…)
突然キスされたことには驚いたけど、
それよりも、途中から
抵抗するのをやめていた自分に驚いている。
不覚にも、焦凍くんとのキスが
心地良いと少しでも思ってしまった。