第8章 恋を知らないマーメイド
−轟side−
『…やっぱり…気持ち悪いって思った…?』
(こいつ…その姿、気持ち悪いと思ってるのか…?いや、普通真逆だろ)
「いや、綺麗だと思った。お前のこの瞳も、その足も」
海波は俯いたままで
髪で顔が隠れて表情が見えなかったため
俺は海波の片側の髪の毛に触れて耳にかけた
『轟くん…』
「気持ち悪いなんて微塵も思ってねぇよ。それに、その姿になったって海波は海波だろ」
なんで海波はこんなに
自分に自信がないのかわからない。
この姿を見て気持ち悪いだなんて
思う人いるのだろうか。
いないだろ
いたとしたらそいつの目がおかしいんだ。
『轟くん、ずるいよね…そういう事さらっと言えちゃうなんて』
「いや、思ったことをそのまま言っただけなんだが…」
海波はプールサイドに手を付くと、
そのまま水から上がって俺の隣に腰を下ろした
今度は姿がしっかり見える。
近くで見ても、やっぱり綺麗だ。