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【ヒロアカ】泡沫少女の歌声はどこまでも

第8章 恋を知らないマーメイド


−あくあside−



『えっ?!轟く…わっ!!?』


動揺した私は
バランスを崩してゴボゴボゴボと
背中から勢いよく水中に沈んでいく。



とりあえず、え、
なんで轟くんここにいるの?!?
え?、待って待って、この姿…見られた…



屋上で歌っていた時は爆豪くんにみられてたし
プールに行ったら今度は
轟くんにみられてたとか…

私、警戒心足りなさすぎる。


どうしよう、足半分魚みたいなこの姿…
気持ち悪いって思われちゃったかな…。

あ〜〜どうしよう



とにかくひとまず轟くんが立っていない
端の方へと泳いでいく。
私は水中でも息ができるので
さっきからずっと潜ったままだ。

この姿は昔から今まで
ほとんど誰にも見せてこなかった。

だからこそなんて言われるのかが怖い。
自分で言うのもあれだけど…
私色々事情抱えすぎだな…



(でも、まさかこの季節にプールに来る人がいるとは思わないじゃん?!)



「海波?」

『…あれ…?!』



水面から顔を上げると、
反対方向に泳いでいったはずなのに
何故か今私は轟くんの目の前に来ていた。

(動揺しすぎて水中で方向間違えた!!)

上から見下ろすように
プールを除いていた轟くんは
私があたふたしている間に靴下を脱いで
ズボンの裾を捲るとプールサイドに座り込み、
足だけをプールにつけた状態になった。


『あっ…えっと…』

「お前…人魚なのか?」

『…うん。私の個性、マーメイドっていってね。水を操るのがメインなんだけど、人魚の姿になることもできるんだ。乾くと人間の足に戻るの』


言い逃れは出来なさそうなので
私は諦めて話すことにした。

轟くんは私にこの姿を見てどう思ったんだろう
やっぱり変なのかな。

『……でも、この姿ほとんど人に見せたことなくてさ…』

「珍しい、よな」

『…やっぱり…気持ち悪いって思った…?』

私はそう言いながら俯いた。
見つめる先は静かに揺れるプールの水面。

わずかな沈黙の後に
彼が発した言葉は予想外のものだった。



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