第7章 春なのに、あつい
昔、両親と私はヴィランに襲われた。
両親は必死に私のことを守ってくれて、
でも、ヴィランの攻撃で倒れてしまった。
圧倒的人数の差にはどう足掻いたって勝てない。
ヒーローも駆けつけた。
けど、ヴィランの数が多すぎる。
私はその騒ぎの中心地点にいたため、
ヒーローの助けが中々来なかった。
ひとまずヴィランが周りのプロヒーローの
相手をしに行った今、
私の周りには倒れた両親が2人。
怪我は重症、生きて帰れたところで
今までどうりの生活ができるとは思えない。
でもまだ息をしている
私の個性でなら治癒できる
まだ、可能性はあるかもしれない。
この時だった
初めて個性が暴走したのは。
私が出来ることは、
水を操ることと、
治癒だけじゃなかった。
治癒だけじゃなく、
その正反対の事も出来てしまった
治癒=復元、
そして反対は、
“崩壊”
私が歌い始めると、
最初は上手くいっていた。
傷が少しずつ癒えていくのが見える。
ただ、ほんの少し、
ほんの少し、心が乱れた。
怖い…辛い…どうしよう…
って。
その乱れが、悲劇を引き起こした。
私が歌い続けると共に
周りの建物が崩れ始めたのだ。
挙句の果てにはヴィランにまで影響は及び、
次々とヴィランが倒れていく。
それが何故なのか
この時の私には理解出来ていなかった
だからこそ、歌うことをやめなかった。
だから…
気づいた時には両親は、
息をしていなかった。