第7章 春なのに、あつい
「…では、あくあ少女。私と緑谷少年の関係について話そう…」
オールマイトは真剣な眼差しで話し始めた。
「…え、言っちゃっていいんですか?!オールマイト」
「ああ。さっきリカバリーガールと話している会話を聞いてしまっていたからね。それにこれから先のことを考えると彼女も知っておいた方がいいだろう」
知っておいた方が良いって何だろう
私と何か関係ある話には聞こえなかったけど…。
それからオールマイトは
出久くんに個性を譲渡した事、
活動限界が短くなっていること、
こんな話私が聞いてよかったのかわからないことも話してくれた。
『そっか…個性を譲渡ね…。まぁ、弟子をとるって時点で何かあるなとは思ってたけど』
「えっそうなの?」
『だってあのNO1ヒーローのオールマイトが弟子をとってそれがとくに個性が強いわけでもなかった中学3年生の男の子だっんだよ??…ただの弟子じゃないなって思ってたよ。聞かなかったけど』
正直何で弟子なんかとっていたのか
ずっと気になっていた。
当時中学3年生だった出久くんは
全く個性を使う気配も教えてくれる気配もないし。
聞かれたくないから言わないんだろうと思って
今まで聞いてこなかったけど、
個性を譲渡していたなんて。
「そうか…。だが、これは絶対に他言無用で頼む。」
『うん。わかってる。こんな大事な事、誰にも言わないよ』
本当にこの話
私が聞いてよかったのだろうか。
(……。)
私は少し考えてから口を開いた。
『…じゃあ…秘密を聞いてしまった代わりといっちゃあれだけど…私の事、少し話そうかな。』
「君の事…?」
『私だけが2人の秘密を聞いて終わりじゃ、割に合わないでしょ?だから、私の過去聞いてくれる?』
過去…あまり思い出したくはない。
けど2人の大きな秘密を知ってしまった今
何も返さずに去ることは出来なかった。
2人は私の過去なんて興味無いかもしれないし
暗い話になるけど、対等にしておきたかった。
『あれは、私が幼い頃。…私が両親を殺しちゃった話。』