第7章 春なのに、あつい
−あくあside−
その後第一回戦の講評が終わり
第二回戦の前に休憩が挟まれ、
講評が終わった後すぐに私は
後ろにあるベンチに座った。
(暑さに弱いの治さなきゃなぁ…
この程度の暑さで倒れてたら元も子もないよ)
さっきの建物内は爆豪くんの爆破と
出久くんのスマッシュで
空気がだいぶあったまっていた。
昔から暑さに弱いって自覚はあったけど
まさかあの程度の暑さでここまでふらつくとは
もはや夏場生きてけないじゃん。
「海波、体調悪いのか?」
横から声をかけられたかと思えばベンチの隣、
右側に轟くんが座っていた。
しかも私が体調悪いって気づいて
声をかけてくれたみたいだ。
『う〜ん…ちょっとね…私暑さに弱くて、さっきまであったまった空気の建物内にいたからさ…』
ああ、今すぐプールに飛び込みたい
そんなことを考えていると
突然私の左頬にひんやりと
冷たい何かが当てられた。
と同時に引っ張られて
轟くんの方を向いてしまう。
『?!』
表すなら少女漫画とかでよくあるペットボトルとかを急に首とかに当てられるやつだ。
ただ今はペットボトルではない、
彼の、轟くんの右手が
私の左頬に当てられている。
(えっ?!何?!え?)
とりあえず訳がわからなかったので何故こんな状況になっているのだろうかと思考を巡らせていると、じわじわと轟くんの右手から冷気が伝わってきて全身がひんやりとしてくるのを感じた。
おかげで先程までの体調の悪さも回復している
これは…彼の個性なのだろうか。
だが、とりあえず、
轟くんがさっきからずっと
私の方を見て黙って動かない。
だんだん自分の心臓の鼓動が
早くなっているのも分かる。
ただでさえ顔と顔の距離がめちゃくちゃ近いのに、
そんなに近くでガン見しないでくれ
なんだろう、デジャヴだ
初対面の時も無言で見つめられたな…
『あの…轟くん、近い!あとなんでずっとこっち見てるのっ…!』
「あ、悪い。…瞳の色、綺麗だなと思って。」
轟くんは手を下ろすとさらっとそう言った。
すごくさらっと。
『なっ…!?』
何でなんの躊躇いもなくそんな
恥ずかしいセリフ言えるんだろうか
折角涼しくなった体がまた熱くなってしまう。